演題抄録

制吐薬適正使用ガイドライン改訂のためのコンセンサスミーティング

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

薬剤師からみたガイドラインの役割

演題番号 : CM2-7

[筆頭演者]
今村 知世:1 

1:慶應義塾大学医学部臨床薬剤学

 

制吐薬の医薬品添付文書には「対象となる抗がん薬」や「制吐療法としての併用に関する情報」が十分に記載されていないため、標準的な制吐療法の実践にはガイドラインの理解が必須となる。悪心・嘔吐のマネジメントはQOLの向上のみならず、がん薬物療法のDose Intensityの維持による有効性の確保につながるため、抗がん薬の催吐性リスクに応じた適切な制吐薬の予防投与は必須といえる。
慶應義塾大学病院ではがん指導薬剤師の提案により、2010年11月に本ガイドラインを参考とした院内の制吐療法指針を作成し運用を開始した。がん化学療法レジメンの登録時には、院内指針に則った適切な制吐療法が併せて申請されているかを薬剤師が確認し、必要に応じて医師に照会の上、登録することを原則としている。抗がん薬への反応性(催吐性)には個人差があるため2コース目施行前には、初回コースの制吐療法の効果を評価し,同一制吐療法継続の妥当性が検討されなければならない。したがって初回コースにガイドラインに準じた標準的制吐療法が施行されていれば、制吐効果が不十分な時の2コース目以降の制吐療法の変更や、補助薬の追加の検討は比較的容易となり、個々の患者に合った適切な制吐療法に早く到達することができる。
ホスアプレピタントはアプレピタントの水溶性を向上させたリン酸化プロドラッグであり、静脈内投与後に体内の脱リン酸化酵素によって速やかに活性本体であるアプレピタントに変換される。ホスアプレピタントはday1のみに150mgを静注することで、アプレピタント3日間経口投与(day1:125mg, day2:80mg, day3:80mg)と同等の制吐効果を有する。アプレピタントはCYP3A4の阻害作用によりデキサメタゾンの血中濃度を上昇させ、この相互作用はアプレピタント投与期間の3日間持続する。一方、ホスアプレピタントのday1のみ投与では連日投与されるデキサメタゾンの血中濃度上昇は2日目までしかみられない。またホスアプレピタントによる注射部位障害は投与速度の増加や投与濃度の上昇で発現しやすくなるため、最終容量を250mLとして30分かけて点滴静注することが添付文書にて推奨されている。
薬剤師は各制吐薬の作用機序、消失半減期、相互作用、副作用、製剤学的特性等の薬学的知識と視点を持ってガイドラインの理解と実践に努め、がん薬物療法の質および有効性と安全性の向上に貢献していくことを目指している。

前へ戻る