演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

転移再発後治療で臨床的完全奏功を得た症例の検討

演題番号 : P70-1

[筆頭演者]
多久和 晴子:1 
[共同演者]
辻 和香子:1、四元 文明:1

1:滋賀県立成人病センター・乳腺外科

 

再発乳癌の治療は、使用可能な薬剤の選択肢も多様となり、サブタイプや病態に応じた適切な治療がされることで、(健康)生存期間の延長が期待できる。再発後治療によりclinical complete response (cCR)を得た場合、どのタイミングで治療を終了するかは、明らかになっていない。治療による有害事象、過剰な治療となるデメリットを考慮し、適切な治療終了時期を検討する必要があると考える。自験例を踏まえ、文献的考察を行う。症例①40歳時左乳癌発症、luminal-HER2 type, stageIIIA。術後補助療法中の術後4年9か月目に多発鎖骨上リンパ節再発。再発後1st lineのweekly paclitaxel(PTX)+trastuzumab(T)開始後4か月目に画像、血液所見上cCRを得たため、T monotherapyを5年継続し、治療を終了した。以後約4年半、再々発を認めない状況を維持している。症例②31歳時右乳房原発多発肺転移、頚部リンパ節転移、HER2-enriched type, stageIV。1st lineのEpirubicine (E) +Cyclophosphamide (C)×2で治療効果が認められず、2nd line weekly PTX+T開始後4か月時点で画像、血液所見上cCRを得たためT monotherapyを継続中である。症例③44歳時右乳癌発症、ER陽性、HER2未検, stageIIB。術後補助療法中の術後2年1か月目に多発肝転移再発。再発後1st lineのEC+5-FU(F) (day1)×5 q4wで効果が認められず、2nd line Medroxyprogesterone acetate (MPA)治療を開始。2年後に右前胸部局所再発をきたしたが、切除術、放射線照射を行い、再発確認後7年目に画像、血液所見上cCRを確認した。以後加療を打ち切り、約13年間再発を認めない状態を維持している。HER2陽性乳癌では、いずれも転移再発治療開始時にT naïve であり、cCR確認後にT monotherapy治療を継続した。内分泌療法を行った症例③では画像上cCR確認後治療を終了した。cCR後に治療を打ち切っても再発しないためにはいくつかの条件が揃う必要があると考えられるが、最も重要なことは適切な治療選択ができていることだと考えられる。比較的若年発症、転移再発診断後1-2 lineでcCRを得た症例では、遠隔転移巣を複数有していた症例においても、治療終了、経過観察が可能である症例が含まれた。現時点での治療終了の手掛かりとなる検査は画像、血液検査所見であるが、今後、特に再発後治療方針の確立されたHER2陽性乳癌患者などでcCRの増加が期待され、治療終了の判断材料となる安定的なマーカーや、機序解析が望まれる。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:集学的治療

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