演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

BRCA変異保因者の予防的卵巣卵管切除の意志決定

演題番号 : MS36-1

[筆頭演者]
塩田 恭子:1 
[共同演者]
秋谷 文:1、山中 美智子:1

1:聖路加国際病院・女性総合診療部

 

【目的】遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対する認知度が高くなるにつれ、BRCA遺伝子検査件数も年々増加し、BRCA変異保因者数も増加している。BRCA変異保因者の卵巣・卵管癌に対するmanagementにはリスク低減卵巣卵管切除(RRSO)とサーベイランスの2方法がある。前者は卵巣癌・卵管癌のリスクを減少させることが証明されているのに対し、後者はその有効性はむしろ否定されており、種々のガイドラインで挙児希望を終えた場合にリスク低減卵巣卵管切除が推奨されている.しかし、臨床の場ではRRSOを患者が選択するのはかなり高いハードルがあるように感じる。本研究の目的はどのような症例でRRSOを選択しているのかを明らかにすることである。
【方法】BRCA遺伝子検査を行い、BRCA1またはBRCA2に病的変異を認め当科で経過をみている79例の中でRRSOを施行した36例(RRSO群)を対象とし、どのような症例でRRSOを行っているかを検討した。またRRSOを施行せずサーベイランスを行っている43例(サーベイランス群)と比較検討した。
【成績】RRSOを施行した36例中BRCA1変異のみが19例、BRCA2変異のみが17例であった。RRSOを施行した年齢は47.8±7.6才、保因者と判明してからRRSOまでの期間は8.5±14.2ヵ月であった。RRSOを行った1例に病理検査で卵管微小浸潤癌が認められた。RRSO群とサーベイランス群とを比較すると、年齢はRRSO群で47.8±7.6才、サーベイランス群で40.6±9.0才と有意にRRSO群で年齢が高かった。乳癌既往はRRSO群で33例(91.7%)、サーベイランス群で34例(79.1%)と有意差はなかった。既婚者はRRSO群で32例(88.9%)、サーベイランス群で31例(72.1%)、経産がRRSO群で29例(80.6%)、サーベイランス群で24例(55.8%)とRRSO群で有意に既婚や経産が多かった。
【結論】RRSOを行った症例は、サーベイランスを行っている症例に比べて、有意に年齢が高く、既婚、経産の症例が多く、ここからは挙児希望が完全に終了した症例でRRSOを選択している状況が伺える。サーベイランスの有効性の証明がなされていない現在、BRCA保因者に対して挙児希望にどう対応していくかが、今後の卵巣・卵管癌のリスク低減の鍵となると考えられる。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:疫学・予防

前へ戻る