演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

手術によって救命しえた腫瘍崩壊症候群と推定された卵巣癌の一例

演題番号 : P19-4

[筆頭演者]
清水 美幸:1 
[共同演者]
木下 敏史:1、兼森 美帆:1、岡本 和浩:1、大倉 磯治:1、川田 昭徳:1、大原 信哉:2、溝渕 光一:3

1:独立行政法人労働者健康福祉機構香川労災病院・産婦人科、2:独立行政法人労働者健康福祉機構香川労災病院・病理診断科、3:香川県立中央病院・病理診断科

 

腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome:TLS)は腫瘍細胞が急激かつ大量に崩壊する事により、細胞内物質が大量に放出され、その代謝産物が腎の排泄能を超えるために生じるoncologic emergencyの疾患である。TLSは抗腫瘍治療後、あるいは時に治療と関連せずに発生し、一般的に造血器腫瘍に多く、固形癌で発症することは少ない。今回、抗癌剤治療歴のない自然発生のTLSを呈した卵巣癌破裂に対して手術によって救命しえた一例を経験したので報告する。
症例62歳未経産。腹満を主訴に前医受診。CTにて骨盤内多房性充実腫瘍、大量腹水認め、当科紹介となった。超音波検査にて骨盤内に20cmを超える腫瘍を認めた。腫瘍マーカーは著明に上昇し、BUN47mg/dl、Cr2.98 mg/dl、尿酸8.1mg/dl、P8.7mg/dl、ミオグロビン953ng/dlと腎機能障害、電解質異常を認めた。卵巣癌、癌性腹水貯留と考え、脱水補正後に手術予定とし入院管理とした。入院後輸液、利尿剤投与するも無尿となり腎機能さらに悪化、呼吸不全も出現したため、ICUにて人工呼吸器管理となった。無尿続くため腹水穿刺にて性状を確認したところ茶褐色で混濁を認めた。腹水中のミオグロビンも高値であり卵巣癌の破裂に伴う急性腎不全、呼吸不全を疑い、摘出ドレナージでの救命が必要と考え同日緊急手術を施行した。術中所見は腹腔内に大量の泥状腹水を認め、右卵巣腫瘍の一部が破裂していた。子宮膣上部切断+両側付属器切除術施行し、腹腔内洗浄したところ術中よりはじめて利尿が認められた。腫瘍は類内膜腺癌G1で、腫瘍の広範囲に何らかの循環障害を疑うような壊死を認めた。術後腎機能、電解質は正常化し、抗癌剤施行後3年を経るが再発は認めていない。自然発生にてTLSを呈した卵巣癌であったと考えられた。固形癌で発症したTLS患者のうち3人に1人が死亡に至ったとの報告もあり、その死因は急性腎不全が最も多い。今回は急速に進行する腎不全、呼吸不全のなか手術にて救命する事ができた。卵巣癌破裂に伴う自然発生TLSにおける死亡例も報告されており、早期の治療介入が必要な病態が存在すると思われた。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:診断

前へ戻る