演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

外来がん化学療法における薬剤師による事前診察

演題番号 : OS14-3

[筆頭演者]
佐藤 淳也:1 

1:岩手医大病薬

 

岩手医科大学附属病院では、外来化学療法施行患者について薬剤師による事前診察を推進している。これは、医師の診察前に薬剤師が患者に面会し、体調や副作用を聴取、支持療法を提案した上で医師に申し送るという服薬指導の発展型である。今回、このような業務が開始されるまでの経緯と有用性について報告したい。まず、事前診察に至る前に薬剤師が外来化学療法を施行する全ての患者に、毎回面談する業務を開始した。そのツールとしては、お薬手帳シールの活用である。患者日誌による副作用の確認とシールを配布することを接点に来診毎に100%患者と面談するスタイルを築き、次第に患者への副作用モニタリングに伴う処方提案が浸透した。しかし、医師にとっては、経験の浅い薬剤師からの行き過ぎた(保険適用外などの推奨)提案、電子カルテや電話上での提案は、受け入れられ難いことも多かった。そこで、円滑な処方提案を行うために、自然発生的に医師や看護師とカンファレンスが開かれるようになっていった。医師との顔の見える関係性は、薬剤師の提案の採択率を上げるものとなったが、支持療法の提案をしても、カンファレンスで議論し反映されるのは、患者の次回来診時である。そこで、これらの問題を解決するために、医師の診察前に薬剤師が面談し、支持療法を予め評価するという取り組み、これが事前診察のスタートである。事前診察の実施に伴い、薬剤師の提案による処方反映率は即日ほぼ100%である。医師にも「継続処方の整理は非常に大変助かる」、「治療方針に専念でき診察が効率化した」、「患者の満足度が高い」などの意見が聞かれ好評に運営されている。 事前診察の進展に平行して、誰もがどの患者にも質の高い画一的な提案ができるよう、薬学的提案内容を医師と協議の上で標準アルゴリズム化を進めている。このようなアルゴリズム化は、各スタッフが提案したエビデンスを集め、医師や看護師と協議の上でまず試行され、一定期間運用し後ろ向きに評価している。一定の有効性が得られるようであれば倫理委員会に申請し、前向き研究にバージョンアップしてゆくという臨床研究への展開にも注力している。 薬剤師による事前面談のような取り組みは、医師不足が叫ばれる地方病院でこそ、医師の診療の質と効率の向上を支援するために重要であると思われる。また、Clinical Questionを臨床研究に展開しやすい点でも有用と考えている。

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