演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

肝癌細胞株における浸潤能と糖鎖異常の解析

演題番号 : P131-1

[筆頭演者]
高橋 秀徳:1 
[共同演者]
柿坂 達彦:1、神山 俊哉:1、相山 健:1、島田 慎吾:1、若山 顕治:1、折茂 達也:1、敦賀 陽介:1、蒲池 浩文:1、横尾 英樹:1、田中 誠一:2、西村 紳一郎:3、武冨 紹信:1

1:北海道大学大学院医学研究科消化器外科I、2:医化学創薬株式会社、3:北海道大学大学院先端生命科学研究院

 

【はじめに】糖鎖はタンパク質を修飾し生体内の様々な反応を制御している。癌においては糖鎖異常が浸潤能などの悪性度に関与していると報告されている。これまでに肝細胞癌患者の血清タンパク質に結合している糖鎖のグライコブロッティング法を用いた網羅的定量解析により、肝細胞癌に特異的な糖鎖が存在し、生存率・再発率についてそれぞれ独立危険因子であることを報告した。また、臨床病理学的因子との解析により、肝細胞癌に特異的な糖鎖と門脈浸潤や肝静脈浸潤などの浸潤能との関連が示唆された。
【目的】肝癌細胞株における浸潤能と糖鎖異常との関連性を解析した。
【対象・方法】浸潤能の異なる肝細胞癌細胞株(HLE、HepG2)の培養細胞を用いた。各細胞で、組織線溶により浸潤能を制御する因子の一つであるurokinase-type plasminogen activator(u-PA)の発現をreal-time PCR、ウェスタンブロッティング法で評価した。u-PA強発現を示す細胞株において、u-PAをsiRNAによりノックダウンし、浸潤能の変化をinvasion assayで解析した。それぞれの細胞株の糖鎖を網羅的定量解析し、浸潤能と糖鎖異常の関係を検討した。
【結果】u-PAの発現は高浸潤能を示すHLEにおいて亢進し、低浸潤能を示すHepG2では抑制されていた。糖鎖の網羅的定量解析では86種類の糖鎖が検出され、HepG2とHLEとの比較では、浸潤能の高いHLEにおいて11種類の糖鎖が増加していた。HLEにおいてu-PAをsiRNAでノックダウンすると、浸潤能の低下と相関して13種類の糖鎖で低下がみられた。質量電荷比(m/z値)が1851.745、2521.988の二つの糖鎖が両者に共通して浸潤能に相関して変化する糖鎖であった。
【まとめ】肝癌細胞株の浸潤能を変化させることにより糖鎖発現が変化することが分かった。質量電荷比(m/z値)が1851.745、2521.988の二つの糖鎖は、u-PAの担う組織線溶の制御する浸潤能に関連した糖鎖異常である可能性があると考えられた。

キーワード

臓器別:肝臓

手法別:基礎腫瘍学

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