演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

同一腫瘍内にXp11.2転座型癌細胞を検出した若年女性に発症した嫌色素性腎細胞癌の1例

演題番号 : P93-5

[筆頭演者]
矢部 通弘:1 
[共同演者]
熊谷 伸:1、熊谷 研:1、片岡 政雄:1、佐藤 雄一:1、秦 淳也:1、羽賀 宣博:1、櫛田 信博:1、柳田 知彦:1、石橋 啓:1、相川 健:1、小島 祥敬:1

1:福島県立医科大学医学部泌尿器科学講座

 

緒言:嫌色素性腎細胞癌は腎細胞癌の中で比較的まれな亜型であり、発生頻度は腎腫瘍全体の約5%程度で、罹患年齢は平均53歳~59歳と報告されている。今回我々は若年に発生した嫌色素性腎細胞癌組織内にXp11.2転座腎癌細胞を検出し得た症例を経験したので報告する。
症例:17歳女性。家族歴、既往歴特記すべきことなし。2013年4月、右側腹部の無痛性腫瘤を主訴に近医受診し、CT検査にて車軸状に造影される8.5 X 6.3 cmの右腎腫瘍を指摘され、精査加療目的に当科紹介となった。各種腫瘍マーカーで異常を示すものは無く、MRI検査上嫌色素性腎細胞癌、乳頭状腎細胞癌や成人型Wilms腫瘍が疑われた。2013年5月、開腹根治的右腎摘除術、大動静脈間リンパ節・腎門部リンパ節郭清を行った。腫瘍は皮膜に包まれており一塊に摘除可能であった。病理組織学的検査では好酸性細胞の充実性あるいは管状の増殖を認め、未熟な上皮系・間葉系細胞成分は認められなかった。免疫染色にてコロイド鉄染色が陽性、TEF3染色陰性であった。以上より病理診断は嫌色素性腎細胞癌であった。しかし、組織染色にてコロイド染色の一部が陰性であったことや、発症が若年であったこと等から、Xp11.2腎癌を疑い、マイクロアレイ、RT-PCRによるTEF3融合mRNA検出、FISH法による検索を追加施行した。
結果:DNAマイクロアレイでは嫌色素性腎細胞癌のクラスターに分類された。しかしRT-PCRにてTEF3融合mRNAのうちASPL-TFE3融合mRNAが検出された。mRNAの塩基配列もASPL遺伝子とTEF3遺伝子の融合であることを確認できた。さらにBreak-apart FISH法によりXp11.2転座を持つ細胞が確認された。しかし転座を示す陽性細胞は腫瘍内の約2%であり診断基準を満たさなかったため最終的にはXp11.2転座腎癌細胞の混在する嫌色素性腎細胞癌と診断した。2015年3月現在再発は認めていない。
考察: 本症例は若年女性に発症した嫌色素性腎細胞癌であったが、若年者の腎細胞癌は常にXp11.2転座腎細胞癌を考慮した方がよく、積極的にRT-PCR法、FISH法を追加検索するべきと考える。小児発症に比較して成人発症のXp11.2転座腎細胞癌の予後は悪いという報告もあり、本症例も厳重なfollow upが必要であると思われる。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:診断

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