演題抄録

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開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

生体内におけるリツキシマブの経時的構造変化の解析

演題番号 : WS100-5

[筆頭演者]
大谷 祐基:1 
[共同演者]
米澤 淳:1、今井 哲司:1、津田 真弘:2、兼吉 真千子:1、池見 泰明:1、大村 友博:1、中川 俊作:1、矢野 育子:1、北野 俊行:3、高折 晃史:3、松原 和夫:1

1:京都大学医学部附属病院薬剤部、2:京都大学大学院薬学研究科統合薬学教育開発センター、3:京都大学医学部附属病院血液・腫瘍内科

 

【背景・目的】
近年、癌および自己免疫疾患に対する治療薬として、抗体医薬品の研究・開発が時代の潮流となっている。抗体医薬品の糖鎖は薬理効果の面において非常に重要な因子であり、脱フコース化することで抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を増強した次世代型抗体医薬品などの開発においても注目されている。一方で、こうした構造が患者の体内で変化を受け予測できない薬理効果の減弱や増強をもたらす可能性が考えられる。しかし、抗体医薬品の体内動態に関してはELISAを用いた血中濃度情報しか存在せず、低分子医薬品のような代謝等の構造変化に関する情報が皆無である。そこで本研究では、個患者体内におけるリツキシマブ抗体医薬品の構造変化および個体間変動について明らかにすることを最終目標とする。今回は、抗体医薬品であるCD20キメラ抗体リツキシマブをラット体内に投与し、血漿中リツキシマブの経時的な構造変化を評価することを目的とするした。

【方法】
Wistar/ST ラットにリツキシマブを10 mg/kgで投与し、投与終了後1時間、7、14、21日後の全血を採取し血漿サンプルを得た。血漿中のリツキシマブを単離精製し、LC/TOF-MSにより構造解析した。また、血漿中リツキシマブ濃度は抗リツキシマブ抗体を用いたELISA法により測定した。

【結果】
糖鎖を含むFc/2フラグメントの構造解析より、最大で9種類の糖鎖構造が検出された。これら糖鎖修飾体の相対含有率の経時的変化を評価したところ、補体依存性細胞傷害活性(CDC)が相対的に強いAAFおよびAM/MAが時間依存的に有意な増加を示し、GnGnFが有意に減少した。また、ADCCを顕著に増強することが知られるGnGnは時間依存的にその割合が増加する傾向が見られた。Fabフラグメントを含む糖鎖以外の構造に関しては、時間依存的な質量変化は検出されなかった。

【まとめ】
今回の正常動物ラットを用いた検討では、リツキシマブが有する一部の糖鎖構造はラット体内では時間依存的に変化することが示された。今後、非ホジキンリンパ腫患者におけるリツキシマブ構造の個体間変動について、京大病院において臨床研究を進めて行く。

キーワード

臓器別:造血器・リンパ

手法別:分子標的治療

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