演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

胃癌における新規バイオマーカーの同定とその臨床応用について

演題番号 : OS17-5

[筆頭演者]
藤原 義之:1 
[共同演者]
大森 健:1、出村 公一:1、杉村 啓二郎:1、宮田 博志:1、友國 晃:1、秋田 裕史:1、三吉 範克:1、高橋 秀典:1、小林 省吾:1、安井 昌義:1、大植 雅之:1、左近 賢人:1、中村 祐輔:2、矢野 雅彦:1

1:地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター消化器外科、2:東京大学医科学研究所ヒトゲノム

 

【目的】我々は、マイクロアレー解析により癌特異的発現を示す癌抗原を複数個同定した。これらの分子の中から胃癌組織において、高頻度に高発現を示す新規分子を抽出した。今回この分子の胃癌におけるバイオマーカーとしての意義を検討し、新たな個別化診断治療戦略への臨床応用の可能性について検討した。
【方法】1、胃癌の切除標本のパラフインブロックを用いFoxM1, DEPDC1の免疫染色法を行い、その発現と臨床病理学的因子との関係、予後との関係を検討。2、胃癌細胞株の発現と抗癌剤耐性との関係、siRNAを用いたknockdownと耐性回復、cDNA plasmidの導入による強制発現と耐性化の関係を検討。3、進行胃癌の治療前内視鏡下生検材料のFoxM1発現と抗癌剤感受性との関係を検討。4、FoXM1, DEPDC1, KIF20A, URLC10, VEGFR1を標的とした胃癌ペプチドワクチンカクテルの臨床試験を施行。
【結果】1、FoxM1高発現は胃癌77例中53例(69%)に認め、高発現症例は、全生存期間、無再発生存期間とも独立した予後不良因子であった。DEPDC1高発現は、70%(86/122)の症例に認め、独立した予後不良因子であった。2、FoxM1高発現株MKN7は、低発現株MKN45と比較し、タキソテール(DTX)抗性が強く。MKN7に対しsiFoxM1でknock downするとDTXに対する感受性が回復し、MKN45に対しFoxM1 plasmidを導入すると抵抗性が増加した。DEPDC1高発現株であるGC3, MKn7は、低発現株MKN45よりDTX抵抗性を示し、GC3にsiDEPDC1でknock downすると抵抗性が回復した。3、DTXを含むレジメにて導入化学療法を施行した36例において、FoxM1高発現症例は有意に奏効率が低かった。4、標準治療不応胃癌35例に対し、ペプチドワクチン単独治療を施行した。MST 155日であり、注射部位の局所反応が認められた症例の予後が良好。5分子とも末梢血の特異的CTL反応は高頻度に認めた。HLA-A typeと生存期間に差は認めなかった。
【結語】胃癌ペプチドワクチン標的分子であるFoxM1, DEPDC1は胃癌における独立予後不良因子であり、タキソテールの抵抗性にも関与しているバイオマーカーである。これを含む4種類の癌抗原とVEGFR1を標的としたペプチドワクチン療法により患者末梢血に高頻度に特異的CTL反応を認めたが、生存に寄与するかは今後の検討課題である。

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