演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

術前CRTを施行した食道扁平上皮癌の予後不良因子の解析と今後の検討課題

演題番号 : OS2-5

[筆頭演者]
阿久津 泰典:1 
[共同演者]
上里 昌也:1、村上 健太郎:1、太田 拓実:1、碓井 彰大:1、羽成 直行:1、青柳 智義:1、加野 将之:1、佐塚 哲太郎:1、水藤 広:1、高橋 理彦:1、松本 泰典:1、大塚 亮太:1、宮澤 幸正:1、松原 久裕:1

1:千葉大学大学院医学研究院先端応用外科

 

【はじめに】JCOG9907の結果より、本邦における食道癌に対する術前補助療法としては5-FU/シスプラチンによる術前化学療法が標準的と考えられている。しかし、治療効果はいまだ不十分であり、より効果的な治療法が望まれている。術前化学放射線療法(CRT)は主に食道腺癌が多数を占める欧米では標準的治療という位置づけであるが、扁平上皮癌がほとんどであるわが国の食道癌に対して術前CRTの有用性をそのまま当てはめることはできない。しかし、われわれはこれまで食道扁平上皮癌に対し積極的に術前CRTを行ってきており、その有用性を示してきた。しかし、それでもなお術後再発はしばしば目にし、予後不良症例があることは事実である。そこで、さらなる予後改善をめざし、術前CRTを施行した症例において、どのような症例が予後不良なのか、そして、さらに予後を改善するためにはどうしたらよいのかを考察した。
【対象と方法】対象は食道癌切除症例のうち、術前CRTを施行された症例88例とした。予後因子として、年齢(66才以上,65才以下)、性別(男,女)、治療前T因子(T1-2,T3-4)、治療前N因子(+,‒)、腫瘍サイズ(10㎝以上,10㎝未満)、腫瘍の分化度(well-mod,poor)、切除標本のT因子(T0-2,T3-4)、病理学的検索によるリンパ節転移個数(3個以上,2個以下)、脈管侵襲(+,‒)、切除標本の病理学的奏効度(Grade3,Grade0-2)でわけ、5年生存率で比較した。
【結果】上記の予後因子のp値は、年齢(p=0.507)、性別(0.095)、治療前T因子(0.281)、治療前N因子(0.064)、腫瘍サイズ(0.102)、腫瘍の分化度(0.788)、切除標本のT因子(0.560)、病理学的検索によるリンパ節転移個数(<0.001)、脈管侵襲(0.025)、切除標本の病理学的奏効度別(0.177)であり、病理学的なリンパ節転移個数で有意に予後の差を認めた。p<0.2の因子を選び多変量解析を行ったところ、病理学的なリンパ節転移個数3個以上が独立予後因子となった。病理学的リンパ節転移個数についてさらに詳しく検討したところ、リンパ節転移3個以上、2個以下で分けたときにもっとも予後の差が明確になった。
【まとめ】術前CRT施行症例でも病理学的リンパ節転移個数は有意な予後規定因子となり、特に3個以上の症例では予後不良であった。これらの術前CRTを施行してもなお予後不良症例に対しては、追加化学療法がすすめられる。術前、術後いずれのタイミングが良いのか、化学療法のレジメンをどうすればよいのか、今後の検討が必要である。

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