演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

CD57T細胞免疫と関連したNL(好中球/リンパ球)比は温熱低容量化学療法の効果判定に有用

演題番号 : P77-9

[筆頭演者]
赤木 純児:1 
[共同演者]
佐藤 伸隆:1、桑原 暢宏:1、岡本 喜雄:1、馬場 秀夫:2、小川 健治:3、関根 暉彬:4

1:社団法人玉名郡市医師会立玉名地域保健医療センター、2:熊本大学医学部消化器外科学、3:白山通りクリニック、4:リンフォテック

 

我々は、以前、進行胃癌において、末梢血CD57+ T細胞が独立予後不良因子であることを報告した。同様に、進行大腸癌でもCD57+ T細胞高値群は低値群に比して有意に予後が不良であった。これらのCD57+ T細胞は、低い増殖能と細胞障害活性を持つreplicative senescence(最終分化型)T細胞ではないかと考えていたが、一方では、replicative senescence と異なり高い増殖能と細胞障害活性を持つCD57+ T細胞についての報告も多くなされていた。CD57+ T細胞に関するこの矛盾する報告は、WuらによってCD27(early effector-memory T cell marker)を用いることで明解に説明された。彼らによると、メラノーマのTIL中に多く存在するCD8+CD27+CD57+ T細胞は低い細胞障害活性しか持たないが、in vitroでのTCR刺激により細胞障害活性の高いCD8+CD27-CD57+ T細胞に分化する。しかし、癌患者ではTGF-β等によって、CD8+CD27+CD57+ T細胞からCD8+CD27-CD57+ T細胞の分化が抑制されていることが報告された。我々が行っている活性化自己リンパ球療法においても培養後CD57+ T細胞が増加してくる現象が見られるが、CD57にCD27を加えて多変量解析した結果、CD8+CD27+ T細胞が予後不良に関与し、CD8+CD27-CD57+ T細胞が予後良好に関与していること、そして、臨床で簡易に測定できるNLR(Neutrophil/Lymphocyte ratio)がCD8+CD27+ T細胞と正の相関を示し、CD8+CD27-CD57+ T細胞とは負の相関を示した。この知見をもとに、Stage IV消化器癌(大腸癌20例、胃癌9例、胆管癌6例、膵癌5例)に対して、ハイパーサーミアによる温熱療法(1回/週)+低容量化学療法を行いNLRによる効果判定を行った。その結果、PR症例が11例、SD症例9例認められ、奏効率は27.5%で臨床的有効率は50%であり、有効症例は無効例に比してNLRが有意に低かった(有効例 1.83±0.77, 無効例 16.05±20 p<0.0001))。ROC曲線でNLRのcut-off値は2.03であり、有効例でNLR<2.03が有意に多く無効例では有意にNLR>2.03 が多かった(p<0.0001)。これらの結果から、NLRが高値の場合には細胞障害活性の低いCD8+CD27+ T細胞が増加し予後不良に関与し、NLRが低値の場合には細胞障害活性の高いCD8+CD27-CD57+ T細胞が増加して予後良好に関与していることが示唆された。以上のことは、簡易に測定できるNLRが癌患者のCD57関連の免疫状態を反映していて、Stage IV消化器癌に対する温熱低容量化学療法の効果判定に有用であることを示している。

キーワード

臓器別:その他

手法別:集学的治療

前へ戻る