演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

局所進行直腸癌に対する術前化学放射線療法の治療効果に関する検討

演題番号 : OS3-9

[筆頭演者]
須並 英二:1 
[共同演者]
石原 聡一郎:1、川合 一茂:1、室野 浩司:1、金沢 孝満:1、風間 伸介:1、野澤 宏明:1、清松 知充:1、田中 潤一郎:1、田中 敏明:1、米山 聡美:1、山口 博紀:1、北山 丈二:1、渡邉 聡明:1

1:東京大学 腫瘍外科

 

【背景】下部局所進行直腸癌に対し、当科では1990年代には術前放射線療法(RT)が、2003年より5FU系抗癌剤を併用した術前化学放射線療法(CRT)が施行されている。2010年より更にCPT-11を5FU系抗癌剤に追加したプロトコールも施行されている。【目的】CRT施行症例の治療効果を評価し、その有用性に関し検討する。【方法】2003年1月より2012年12月にかけ当科にて施行された直腸癌術前CRT施行症例159症例を対象とした。当科の標準プロトコールでは、放射線照射を4門にて1回1.8Gy合計28回総量50.4Gy施行し、抗癌剤はtegafur-uracil 300-500mg/日、leucovorin 75mg/日を照射日に経口投与している。一部症例では更にCPT-11を50-80mg/m2で隔週合計4回追加されている。側方郭清は、術前画像あるいは術中所見にて疑った症例にのみ施行し、予防的側方郭清は省略している。これら159症例に関し病理組織学的効果、腫瘍縮小率、リンパ節転移等の短期成績に関する検討を行い、更に術後再発に関する検討を加え、直腸癌に対するCRTの治療効果に関する検討を行った。【成績】6症例でCRT開始前に診断されなかった遠隔転移が手術時までに発生し2症例で根治手術が断念された。病理組織学的CRは評価可能症例146症例中14例(9.6%)に認められた。CR達成に対するCPT 併用の上乗せ効果は約10%程度であった。病理組織学的リンパ節転移は郭清の行われた147症例中36例(24%)に認められた。深達度A以深の症例に限定すると転移頻度は35%であり、術前治療を施行しない群に比較し低率であった(P<0.05)。前述の基準に従って11症例に側方郭清が施行され3症例で側方転移を認めた。括約筋温存術は152例中98例に行われ、近年では腹腔鏡下手術やロボット支援下手術も増加している。再発は28例に認め、内訳は局所8例、肝8例、肺17例その他5例(重複あり)であった。下部直腸癌でも特に腹会陰式直腸切断術の適応となるような低位直腸癌での肺転移頻度は他に比較し有意に高かった(P<0.05)。【結論】術前放射線化学療法の施行により側方郭清の大部分は省略可能であるが、側方郭清の必要な症例の選別が必要である。CRT開始から手術までの間に転移が明らかとなる症例も存在することからも、術前治療の有効な症例の予測が課題の一つである。また肛門に近い症例における肺再発に対する補助療法の施行は必要と考えられる。

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