演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

好中球/リンパ球比(NLR)は転移再発乳癌(MBC)の予後予測マーカーとなりうる

演題番号 : O11-8

[筆頭演者]
宮本 健志:1 
[共同演者]
藤澤 知巳:1、柳田 康弘:1、桑野 博行:2

1:群馬県立がんセンター乳腺科、2:群馬大学大学院医学系研究科病態総合外科学

 

【はじめに】乳癌術前化学療法のpredictive markerの一つとして、tumor infiltlating lymphocyteがあり、免疫・炎症性細胞により形成される癌の微小環境が注目されている。乳癌に限らず、多くの癌腫で、この環境が増殖・浸潤・転移を促進するという報告が見られる。微小環境の延長として、よりマクロにこの環境を把握する方法としては、好中球/リンパ球比(NLR)があり、全身の炎症状態の簡便な指標となる。胃癌や大腸癌では予後不良を予測する因子としての報告がある。乳癌でも同様の報告が見られるが、当院での切除可能乳癌でのNLRと治療成績の関係を検討したところ、関連はみられなかった。そこで、さらに全身病と化した、転移再発乳癌(MBC)ではどうかと考えた。
【目的】MBC患者のOSにNLRが影響しているかを検討する。
【対象】2003年以降の、当院MBC患者、300例。初診時Stage4は53例。Disease free survival (DFS)中央値は911日、Overall survival (OS)中央値は1196日。NLRの平均値は、2.85。MBCと判断した理由は、骨転移、胸膜・肺転移、肝転移、リンパ節転移、中枢神経系(CNS)転移、切除不能な胸壁再発、その他の転移とした。
【結果】単変量解析にてOSとMBCの状況を検討した結果、初診時Stage4、サブタイプ、肝転移とCNS以外の単独臓器転移、再発時の年齢は、OSへの寄与が認められなかった。一方、OSに影響を及ぼす因子としては、NLR>=3.7(p<0.01)、DFS<1000日(p<0.01)、肝転移有り(p<0.05)、CNS転移有り(p<0.01)、2臓器以上の転移有り(p<0.05)が挙げられた。これら5項目の間に、相関関係を見出すことはなかった。また、これらの項目で多変量解析を行うと、DFS<1000日(p<0.01)、CNS転移有り(p<0.01)と並び、NLR>=3.7がp<0.05で、独立した予後因子であった。
【考察】NLRは採血を行うだけでチェックできる非常に簡便な予後予測因子の一つであった。MBC生じた時点での全身の免疫・炎症細胞による微小環境が、腫瘍増殖に寄与している可能性を強く示唆すると考えられる。NLRの高いホルモン陽性MBC症例は、仮にlife threadingな病変が無くても、早期に化学療法へと切り替える必要があるかもしれないが、Ki67と同様、治療標的を明らかにするバイオマーカーではない。さらなる後ろ向き症例の集積・検討を進めたうえで、前向きに治療法検討を進める必要がある。
【結語】NLR>=3.7はDFS<1000日、CNS転移有りと並ぶ、MBCの独立した予後予測因子である。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:バイオマーカー

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