演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

Paclitaxelおよびoxaliplatin誘発疼痛のオピオイド鎮痛薬誘発精神依存に与える影響

演題番号 : P101-2

[筆頭演者]
森 友久:1 
[共同演者]
中邨 篤史:1,2、春宮 昌人:1、増元 亜紀:1、蒲原 智絵:2、芝崎 真裕:1、金政 利幸:2、鈴木 勉:1

1:星薬科大学 、2:塩野義製薬株式会社 医薬研究本部 創薬・疾患研究所 疼痛神経部門

 

抗がん薬は、がん患者のがんの進行抑制および治療に必要不可欠であるが、抗がん薬自体が、神経を障害することによって、患者に'しびれや疼痛'を引き起こすことが最近問題となってきている。当教室では、神経障害性疼痛下および炎症性疼痛下において、オピオイド鎮痛薬によって誘発される精神依存の形成が抑制されること、さらにその抑制機序を明らかにしてきている。しかしながら、抗がん薬誘発神経障害性疼痛下におけるオピオイド鎮痛薬の精神依存形成に与える影響については明らかにしていない。そこで本研究では、paclitaxelならびにoxaliplatinよって引き起される神経障害性疼痛下におけるmorphine、oxycodoneおよびfentanyl誘発精神依存の形成について検討した。SD 系雄性ラットを用い、paclitaxel (1 mg/kg ) を週5回2週間に渡り腹腔内投与し、投与開始 1、5、9、13および16 日目において von Frey test を実施してアロディニアの確認を行った。 また、oxaliplatin ( 2 mg/kg )を週2回4週間に渡りを腹腔内投与し、投与開始後1、8、15、22、29 および36 日目にvon Frey test を実施してアロディニアの確認を行った。その結果、paclitaxel では投与開始 16 日目、oxaliplatin では 29 日目から安定したアロディニアの発現が確認出来た。そこで、これらのラットを用いて、条件づけ場所嗜好性試験法に従い、paclitaxelおよびoxaliplatinによる神経障害性疼痛下でのmorphine (1および4 mg/kg ) 、fentanyl (0.017 mg/kg)ならびにoxycodone (0.56 mg/kg ) 誘発報酬効果形成について検討した。その結果、morphine、fentanylおよびoxycodoneにより誘発される報酬効果は、paclitaxelおよびoxaliplatinによる神経障害性疼痛下ではほとんど影響を受けなかった。以上の結果より、神経障害性疼痛下および炎症性疼痛下とは異なり、抗がん薬により誘発される'しびれ'を中心とした神経障害性疼痛では、オピオイド鎮痛薬の精神依存が形成される可能性が示唆された。従って、抗がん薬治療に伴って発現する疼痛に対してオピオイド鎮痛薬を使用する際には精神依存の形成を考慮に入れる必要があるかもしれない。

キーワード

臓器別:その他

手法別:トランスレーショナルリサーチ

前へ戻る