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当院の原発性小腸癌10例の検討 演題番号 : P-134
1:福井大学・第一外科
【目的】
原発性小腸癌は消化管癌のうち0.1~1%と比較的稀な疾患ではあるが、進行した状態で発見される、臨床的に悪性度の高い癌である。治療は外科的切除が基本であるが、遠隔転移により非治癒切除となる症例が多く、特に腹膜播種の報告が目立つ。今回当院で経験した原発性小腸癌10例について検討するとともに、原発性小腸癌の腹膜播種に対し、HIPECを行うことで良好な成績を上げた2例を報告する。 【症例解析】 2007年から2019年に当院では原発性小腸癌10例を経験した。同時性・異時性腹膜播種を伴うものは6例で、壁深達度がSE以深の全症例で腹膜播種を認めた。腹膜播種を伴う原発性小腸癌の症例は、89歳の高齢者を除いた5例で術後に化学療法を施行し、S-1・S-1+CDDP・FOLFOXが選択された。2症例にHIPECを施行した。当院原発性小腸癌腹膜播種症例のMSTは26ヶ月であった。 【症例1】 55歳男性、初発症状は腹痛で当院受診、CTで多発肝腫瘤・腹腔内結節と小腸透視でTreitz靱帯から40cmに狭窄像を認め、空腸癌の疑いで手術の方針となった。空腸部分切除、肝部分切除(4ヶ所)、脾摘出、腹膜播種巣切除(7ヶ所、PCI score:9)、HIPECを施行した。術後にFOLFIRI、UFT/Uzel継続するも術後15ヶ月で肝転移再発、術後28ヶ月で腹膜播種再発が出現し、術後40ヶ月で多発肝転移による肝不全で原病死となった。 【症例2】 37歳女性、貧血を主訴に受診、リンパ節転移陽性・遠隔転移陰性の空腸癌に対し空腸部分切除を施行した。術後S-1療法を8ヶ月施行し外来で経過観察としていたが、術後16ヶ月で左下腹部に8mm単発の腹膜播種再発を認めた。腹膜播種巣切除(PCI score:4)、HIPECを施行し、術後81ヶ月新規再発なく経過している。 【結語】 原発性小腸癌の同時性・異時性の腹膜播種症例に対し、HIPECが有効である可能性が示唆された。稀少癌のため、さらなる症例の集積が必要である。 |
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