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胃癌患者における腹腔内遊離RNA発現量測定の意義 演題番号 : P-116
1:久留米大学・外科
はじめに
CY0及びR0手術においても腹膜播種再発をきたす症例がしばしば認められる。そこで今回、定量的リアルタイムPCRを用いてRNAレベルでの検索を行った。 対象と方法 2018年4月から2019年11月までに当院で腹腔鏡手術を行った肉眼的腹膜転移を除く胃癌患者のうち腹腔内洗浄液を回収出来た35例を対象とし、手術開始時及び閉腹時の腹腔内洗浄液よりRNAを分離し、PCRのプライマーとしてKRT20(CK20)、CECAM5(CEA)、CDH1(E-cadherin)を用い、発現量をPCRにて測定した。 閉腹時に回収した腹腔内洗浄液における各遺伝子の発現量をhigh群とlow群に分け、臨床病理学的因子及び手術因子の比較を行った。 結果 CY1の診断となったのは8例であり、CY0群と比較して有意にCK20、CEAを高値で検出できた(p=0.0016、p=0.0004)。E-cadherinは両群での差は認めなかった。 CK20-high群(n=24)では150ml以上の術中出血を認めた症例に有意に多かった(p=0.0276)。E-cadherin-low群(n=11)では有意に未分化型が多かった(p=0.0209)。また、CK20-high及びE-cadherin-high群(n=15)では150ml以上の術中出血を認めた症例で有意に多かった(p=0.0073)。腹膜再発をきたした症例は3例であり、いずれもCY0であったが、CK20、CEA、E-cadherinが高発現していた。 結語 CK20は術中出血との関連性を認め、E-cadherinの低下に関わる因子は低分化型所見であった。また、CK20、E-cadherinの上昇には術中出血が関与している可能性が示唆された。 上記より腹腔内遊離RNAの検出は腹膜再発の有力な因子になり得ると考えられた。 |
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