演題抄録

口演

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

RAS野生型進行大腸癌の一次治療にFOLFOXIRI±Bevacizumabを使うことは妥当か?

演題番号 : O28-6

[筆頭演者]
小林 和真:1 
[共同演者]
岡田 怜美:1、福本 将之:1、井上 悠介:1、久芳 さやか:1、森田 道:1、本田 琢也:3、福田 実:3、小坂 太一郎:1、足立 智彦:1、伊藤 信一郎:1、日高 匡章:1、金高 賢悟:1,2、江口 晋:1

1:長崎大学・移植・消化器外科、2:長崎大学・消化器再生医療学講座、3:長崎大学病院・がん診療センター

 

【背景】RAS野生型の進行大腸癌の一次化学療法には抗EGFR抗体薬+doublet chemotherapyが基本と考えられる。しかしながらRAS遺伝子検索には時間を有するため、腫瘍による症状が軽微な場合はRAS検査の結果を待ってからの導入も可能であるが、通過障害や肝転移の増悪による症状があり早急な治療が必要な場合には当科ではFOLFOXIRI±Bevacizumab(Bmab)を選択している。この中には、後日、RAS遺伝子野生型が判明した症例が存在している。
今回、RAS野生型でFOLFOXIRI療法を一次治療として使う妥当性について検討を行った。
【症例と方法】RAS野生型で一次治療にFOLFOXIRIを使用した5例(以下:FOLFOXIRI群)、抗EGFR抗体薬を使用した33例(以下抗EGFR群)を後方視的に検討した。性別,年齢中央値,使用レジメンの順にFOLFOXIRI群(男性3/女性2/66.0歳/FOLFOXIRI+Bmab:4/FOLFOXIRI単独:1)抗EGFR群 (男性19/女性14/66.0歳/FOLFOXIRI+Bmab:4/FOLFOXIRI単独 :1)男性19/女性14/61.5歳/Cmab+mFOLFOX6:20,Cmab+SOX:1,Cmab+IRIS:3,Pmab+mFOLFOX6:8,Pmab単独:1)であった。【結果】奏効率はFOLFOXIRI群:60%(PR3/SD2),抗EGFR群:52%(PR17/SD12/PD4),median PFSはFOLFOXIRI群:medianに達せず, 抗EGFR群:311日, MSTは FOLFOXIRI群:medianに達せず, 抗EGFR群:1275日であった。
conversion率はFOLFOXIRI群:40%(2/5),抗EGFR群:27%(9/33)であった。
右側結腸はFOLFOXIRI群で1例、抗EGFR群では3例であるが、抗EGFR群で3例中1例にconversionが得られた。FOLFOXIRI群5例全てで腫瘍による症状が改善した。【まとめ】FOLFOXIRI群の成績は抗EGFR群に遜色ないことから、腫瘍による症状が強く治療を急ぐ必要がある場合にはRAS野生型であっても一次治療でFOLFOXIRI±Bevacizumabを使用することは妥当であると考えられた。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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