一般演題(示説)
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低肺機能の肺扁平上皮癌に対し右肺中葉およびS7/8区域切除を施行した1例 演題番号 : P56-9
1:山梨大学 医学部
【症例】膀胱癌治療前の精査で右肺門近傍に腫瘤陰影を指摘。胸部CTで右肺中葉の肺門近傍を主座とする最大径3.5cmの腫瘤で、下葉浸潤の所見を認めた。気管支鏡を含む全身精査で扁平上皮癌:c-T2a(隣接肺葉浸潤)N0M0と診断された。また呼吸機能検査でFEV1.0%:51.2%と閉塞性換気障害を認めた。手術は右後側方切開にて右肺中葉およびS7/8区域切除および縦隔リンパ節郭清を施行した。術後病理検査でp-T2aN2(#7リンパ節)M0の原発性扁平上皮癌と診断され、補助化学療法を施行。術後2年無再発生存中である。【考察】肺門部およびその近傍に発生する肺癌の隣接肺葉浸潤では、肺全摘や二葉切除を必要とする症例がある。本症例においては本来であれば右中下葉切除が適応と考えられるが、中等度以上のCOPDを有しており、術前および術中の所見でリンパ節転移が認められなかったことから、消極的に中葉切除/下葉区域の複合切除を行った。術後病理所見でリンパ節転移を認めたものの、PSも保持され呼吸不全もなく、補助化学療法も全量施行可能であった。大侵襲を避けて消極的に本術式を選択したが、現在まで良好な結果を得ている。さらに検討を加えて報告する。
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