演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

上大静脈症候群と中枢性気道狭窄

演題番号 : OS20-3

[筆頭演者]
朝比奈 肇:1 

1:北海道大学病院 内科I

 

 上大静脈症候群(Superior vena cava syndrome; SVCS)は、心臓への静脈還流の約3分の1を占める上大静脈血流の途絶・著明な減少による、頭部、頚部、上肢、体幹上部からの静脈還流障害に伴う症候群である。腫瘍(非小細胞肺癌、小細胞癌、悪性リンパ腫など)もしくは炎症(大動脈瘤その他)による上大静脈の外部からの圧迫、直接浸潤、血栓・塞栓形成が原因となるが、近年では留置カテーテルなどが原因で発生することも増えている。静脈圧の上昇により、顔面、頚部、両上肢の浮腫、チアノーゼ、多血症、皮下静脈の拡張などが生じる。喉頭浮腫などに伴い咳嗽、嗄声、喘鳴、息切れなどの症状が生じ、また稀ながら、脳浮腫により頭痛、混迷、昏睡を来すこともある。症状の軽重は、上大静脈の狭窄の程度と、狭窄の進行速度による。患者の経験する症状は深刻であるが、多くの場合、側副血行路が発達してくるためSVCS自体は致死的にはならない。治療ならびに予後は、原疾患により規定されるため、組織学的な確定診断を早急に実施し、原疾患に対する標準療法を実施することが重要である。治療は薬物療法への感受性の違いなどにより、化学療法、放射線治療等が選択されるが、一部の症例では、ステント治療の適応となる。比較試験が存在しておらず、合併症を考慮すると治療選択が難しい病態であるが、グレード分類や治療アルゴリズムなども提案されており、本会において議論させていただく予定である。 中枢性気道狭窄(Central airway obstruction; CAO)の原因としては肺癌が最も多く、次いで、食道癌、甲状腺癌、乳癌などがあげられる。治療方針は病状の進行速度や病態(外圧型狭窄、内腔型狭窄、混合型狭窄)、薬物・放射線に対する感受性によって異なるが、重症の場合は、人工呼吸管理もしくは全身麻酔下に緊急治療を要する病態である。気道ステント留置などをはじめとするInterventional Pulmonologyの発展に伴い、治療の選択肢は増えているが、術後の合併症対策も含め、特別な訓練を受けた呼吸器内視鏡医・麻酔科医・放射線科医・腫瘍内科医をはじめとする多職種チームにより提供される医療と考えられる。 演者は、主に肺癌の化学療法を専門とする腫瘍内科医であり、主にIntervention治療を「依頼する」立場であるが、そのような立場から上記2つの病態のマネージメントについて議論させていただきたいと考えている。

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