演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

Non-melanoma skin cancerにおける分子標的薬の導入と治療法の進歩

演題番号 : OS17-3

[筆頭演者]
竹之内 辰也:1 

1:新潟県立がんセンター 皮膚科

 

Non-melanoma skin cancer(NMSC)は悪性黒色腫以外の皮膚癌に対する総称であるが、主には有棘細胞癌(SCC)と基底細胞癌(BCC)を指す。人種による罹患率の差は大きいもののNMSCはあらゆる癌の中で最も多くみられる癌腫であり、毎年3-8%の割合で増加を続けている。SCCの多くは手術療法単独で根治が得られるが、手術不能例もしくはリンパ節、遠隔臓器転移例に対しては化学療法が治療選択の1つとして考慮される。SCCに対してはこれまで既存の抗癌剤による種々のレジメンが試みられ、それぞれ比較的高い奏効率が示されているものの、確立した標準治療はない。上皮成長因子受容体(EGFR)は多くの上皮性悪性腫瘍において過剰発現が認められており、SCCにおいてもEGFRに対する分子標的治療の可能性が示されている。ゲフィチニブを高リスクSCCの術前もしくは照射前治療として用いた第II相試験では45%の奏効率が、また切除不能SCCに対するセツキシマブの第II相試験では28%の奏効率が得られている。セツキシマブは我が国では2012年末に頭頸部癌に対する承認が追加された。また、2012年1月に局所進行性・転移性BCCに対する治療として経口のヘッジホッグ阻害薬であるビスモデギブがFDAによって承認された。ヘッジホッグ経路は細胞表面にある受容体のPTCHとSMOを介して情報伝達を行い、胎生期の臓器形成に重要な役割を果たす。これまでBCCをはじめとする複数の癌で伝達因子の変異によるヘッジホッグシグナルの異常な活性化が報告されてきた。進行性BCCに対するビスモデビブによる複数の第II相試験では30‐60%の奏効率が示されており、基底細胞母斑症候群患者に対するプラセボ群とのランダム化比較試験においてもビスモデギブによる新規BCCの発生抑制と既存病変の縮小を認めている。その他のヘッジホッグ阻害剤の開発も進んでおり、外用剤による臨床試験も行われている。現在我が国でNMSCに対して承認されている分子標的薬は存在せず、今後の見通しも不透明ではあるが、新規治療薬の導入への期待は大きい。海外における開発の動向を中心に解説する。

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