演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

下顎歯肉がん

演題番号 : OS16-2

[筆頭演者]
平木 昭光:1 
[共同演者]
篠原 正徳:1、中山 秀樹:1、吉武 義泰:1、尾木 秀直:1、福間 大喜:1、永田 将士:1、吉田 遼司:1、川原 健太:1、高橋 望:1

1:熊本大学大学院生命科学研究部 総合医薬科学部門 感覚・運動医学講座 歯科口腔外科学分野

 

下顎歯肉がんは口腔がんの約12%を占め、舌がんに次いで多く発生する。口腔がんの中でも歯や下顎骨などの硬組織を含むため、特有の解剖学的特徴を有しており、それらを踏まえた上での治療計画が必要となってくる。また、治療後には顔貌の変形などの審美面や咀嚼、嚥下機能に大きな影響をあたえるため、QOLの低下を十分に考慮することが重要である。 下顎歯肉がんの病期分類はUICC分類に準じて、2010年に口腔癌取り扱い規約が作成されているが、T4に関しては下顎管に達する骨浸潤の有無で判定する下顎管分類が口腔外科領域では多く用いられている。 治療に関しては手術療法、化学療法、放射線療法が3本柱であるが、根治的治療を行うにあたっては現在でも手術療法が中心である。しかし近年、化学放射線療法や超選択的動注化学療法での根治を目指す治療も行われるようになってきている。さらに、分子標的治療薬が開発され頭頸部領域においても2012年12月からセツキシマブが適応となり新たな治療展開が期待される。また第4の療法として免疫療法も研究、臨床治験が進んでおり、当科においても腫瘍特異的抗原由来ペプチドを用いた癌ワクチン療法を行っている。従来から行われている治療の3本柱に加え、分子標的治療や免疫療法、さらに術前治療や術後治療についても新しい知見を加えて報告する。 さらに、治療後において、特に手術療法後は咀嚼、嚥下機能の著しい低下を来すことが多く、QOLを維持するためにはその再建が非常に重要となる。下顎切除後の再建は、再建用チタンプレートが従来から広く用いられ、それに加えて腓骨、腸骨を中心とした骨移植が行われている。また、チタンメッシュを用いた手法等も行われているが、最近では画像処理ソフトや3Dプリンターなどの画像技術を駆使し、術前に下顎骨の再建シュミレーションが可能となった。さらに2012年4月より顎骨切除後の歯科インプラントが健康保険適応となり、歯科インプラントを用いた咀嚼能力の回復が身近なものとなった。下顎歯肉がんの診断から治療、再建、術後のオーラルリハビリテーションを含めた包括的な治療が求められるようになってきている。今回はそれらに関して新しい知見もくわえて報告する。

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