演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

cT4食道癌の外科治療の限界と成績

演題番号 : PD9-5

[筆頭演者]
安田 卓司:1 
[共同演者]
白石 治:1、岩間 密:1、加藤 寛章:1、平木 洋子:1、安田 篤:1、宮田 博志:2、新海 政幸:1、今野 元博:1、木村 豊:1、矢野 雅彦:2、今本 治彦:1

1:近畿大学・医学部・外科学教室、2:地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター・消化器外科

 

目的】cT4(大血管/気道系)浸潤陽性食道癌はR0切除困難で極めて予後不良である。一方、医療技術や治療戦略の進歩はめざましく、治療法の変遷とその成績の検討から外科的視点よりみた現時点での有望な治療戦略とその課題を明らかにする。
対象と方法】cT4(大血管/気管・気管支)と診断した進行食道扁平上皮癌の内、時代的変遷を検討するため、私が在籍して手術を行った大阪府立成人病センターの49例(1990-'99)と近畿大学の69例(2003-'15)を対象に後方視的に解析した。
結果1. 時代的な治療戦略別治療成績 Group I:手術単独21例(1990-'94.3)、Group II:術前化学療法(NAC:FAP)28例(1994.4-'99)、2003年以降は3例のNAC例を除外し化学放射線療法(CRT)例を線量別にGroup III:RT<50Gyの18例、Group IV:RT≧50Gyの48例に分けて検討した。GI/GII/GIII/GIVの順にR0切除率=71.4%/89.3%/77.8%/84.8%と差は無いが、5年癌特異的生存率(CSS) =4.8%/34.0%/32.3%/46.8%、領域再発率=75.0%/13.6%/16.7%/12.8%、遠隔再発率=8.3%/45.6%/44.4%/21.3%と前治療の強度と共に向上した。2. 長期予後の条件 前治療別の全再発率はNAC/CRT<50Gy/50Gy≦CRT=56.0%/57.1%/34.9% (p=0.147)、R0/R0+合併切除/R1-2の5年CSS=48.3%/13.9%/0% (p<0.0001)で、50Gy以上のCRTと合併切除(-)R0切除が予後良好の条件であった。但し、R0切除でも≦pN1/pN2≦の5年CSS=54.7%/12.9%であり、pN0-1が積極的外科適応であった。3. 合併切除の意義 合併切除は32例で、大血管:5例、気管(支):6例、膜様部:7例、咽喉摘:14例(内Grillo 11例)。3年以上の生存は大血管:1例、膜様部:1例、Grillo:2例で、GrilloのpN2(8個)の1例以外は≦pN1であった。4. 50Gy以上のCRTの課題 Group III(<50Gy)とIV(50Gy≦)で比較すると、短期的にはGIII/GIV別に術後の誤嚥=22%/40% (p=0.08)、術後肺炎=11%/23% (p=0.28)、気管切開率=0%/16% (p=0.05)と50Gy以上で肺合併症リスクが高かった。長期的にも6例が術後1年以降に肺炎/呼吸不全で他病死しており、照射方法の工夫等の肺合併症対策が課題であった。5. cT4に対する至適前治療 近年DCF化学療法でCRTにも匹敵する高い奏効率が得られている。現在、阪大、近大、センターを中心に導入治療としてのCRTとDCFの有用性をRCTで検討中である。
結語】50Gy以上のCRTに続くR0切除が有望な戦略だが、pN1以下へのNの制御と短期から長期に亘る肺合併症対策が更なる成績向上の鍵と考えられた。

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