演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

腎細胞癌の病理:WHO2016

演題番号 : OSY12-2

[筆頭演者]
長嶋 洋治:1 
[共同演者]
福田 洋典:2、高木 敏男:2、近藤 恒徳:3、矢尾 正祐:4、田邊 一成:2

1:東京女子医科大学・病院・病理診断科、2:東京女子医科大学・病院・泌尿器科、3:東京女子医科大学・東医療センター・泌尿器科、4:横浜市立大学・大学院・泌尿器科

 

2016年、WHOより新しい泌尿器・男性生殖器腫瘍病理組織分類が出版された。腎細胞癌に関しては以下の変更が行われた。
1. 多房嚢胞性腎細胞癌 はきわめて予後良好であるため、低悪性度多房嚢胞性新生物(multilocular cystic neoplasm of low malignant potential)と名称変更された。過剰な追加治療を回避するよう注意を要する。
2.Xp11.2および 6p21転座型腎細胞癌は、関連する遺伝子TFE3およびTFEBがMiTファミリーに属する転写因子をコードするためMiTファミリー転座型腎細胞癌にまとめられた。若年発症、小児腫瘍の既往歴あり、淡明腫瘍細胞が乳頭状、胞巣状構築を形成、微細石灰化などの所見に注意する。実態の把握には多数症例蓄積が求められる。
3.長期透析に関連した特徴的な組織型として後天性嚢胞腎随伴腎細胞癌が加えられた。透析患者の増加、期間の遷延化とともに症例数が増加すると考えられる。
4.淡明細胞乳頭状腎細胞癌管状嚢胞癌コハク酸脱水素酵素(succinate dehydrogenase, SDH)欠損腎細胞癌先天性平滑筋腫症・腎細胞癌症候群(hereditary leiomyomatosis renal cell carcinoma, HLRCC)随伴性腎細胞癌(fumarate hydratase遺伝子機能喪失型変異による)といった新規組織型が加わった。HLRCCは当初考えられていたよりも多彩な形態を示すことがわかってきた。病理診断が家族性腫瘍症候群の存在を認識するきっかけになりうるので、診断時には注意が必要である。
5.腎髄質癌、神経芽腫随伴腎細胞癌が分類項目から除かれた。
6.核小体の大きさを指標とする核異型度分類を、淡明細胞型および乳頭型腎細胞癌に適用し、併記することが推奨されるようになった。
本講演ではこれらを踏まえ、日常診療の中で、特殊な組織型を見逃さないための留意点を概説する。

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