演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

タキサン系抗がん剤による末梢神経障害に対して四肢冷却が有効であった2症例

演題番号 : P17-6

[筆頭演者]
田中 菜摘子:1 
[共同演者]
平野 明:1、小倉 薫:1、服部 晃典:1、井上 寛章:1、湯川 寛子:1、阪口 志帆:1、松岡 綾:1、小寺 麻加:1、小湊 篤子:3、瀬川 順子:3、飯田 有美:3、山賀 亮祐:3、成高 義彦:2、清水 忠夫:1

1:東京女子医科大学・東医療センター・乳腺科、2:東京女子医科大学・東医療センター・外科、3:東京女子医科大学・東医療センター・ケアルーム

 

【緒論】タキサン系抗癌剤の有害事象である末梢神経障害(peripheral neuropathy: PN)
は長期間にわたり遷延する例が多い. 当科の検討でもパクリタキセル毎週12回投与によるPNの発生率は77.5%で, PN発生例のうち5年後に症状が残存する症例が86.4%と非常に高率である. しかしながら, PNに対する効果的な治療法はなく予防効果も限られている. 近年,化学療法によるPN予防を目的としたフローズングローブやサージカルグローブ, 弾性ストッキングの有用性に関する報告が散見される. 今回我々は, 四肢冷却が有効であった2症例を経験したので報告する.
【症例1】41歳, 女性. 左乳癌T2N1M0 -stage ⅡB (ER0%, PgR 0%, HER2:3+)に対して術前化学療法としてエピルビシン+シクロフォスファミド, ナブパクリタキセル(125mg/m2)+ハーセプチン療法を施行した. 末梢血管確保困難のためCVポートを挿入したが血栓症にて中止し, 左手背の静脈でルート確保していたため右手のみフローズングローブを着用した. ナブパクリタキセル1コース目途中より左手と両足にPNが出現したが, 冷却していた右手には出現しなかった.
【症例2】53歳, 女性. 左乳癌 T2N1M0-stageⅡB(ER陽性, PgR陽性, HER2:1+)に対して乳房部分切除術+腋窩郭清を施行した. 術後にエピルビシン+シクロフォスファミド, パクリタキセル(80mg/m2)毎週12回投与, タモキシフェンを5年間内服した. 術後9年目で胸膜・心膜転移を来し, ベバシズマブ+パクリタキセル療法2コース施行後よりGrade1のPNが出現した. 3コース目よりフローズングローブ+ソックスを開始し症状はほぼ消失した. 症状が改善したため6コース目から冷却は行わず, PDのため7コースでパクリタキセルを中止した. 現在, 症状は改善したままである.
【考察】四肢冷却によるPNの予防・改善効果の作用機序としては, 冷却により毛細血管が収縮し, 末梢血流が減少することで組織のパクリタキセル暴露量が減少するためと考えられる. 今回我々はパクリタキセル/ナブパクリタキセルによるPNに対して四肢冷却が有効であった2症例を経験した. 今後は前向き試験で有効性を検証していきたい.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:化学療法

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