演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

乳癌術前化学療法における癌免疫微小環境の経時的変化の検証

演題番号 : P10-6

[筆頭演者]
後藤 航:1 
[共同演者]
柏木 伸一郎:1、浅野 有香:1、高田 晃次:1、高橋 克之:2、高島 勉:1、野田 諭:1、小野田 尚佳:1、富田 修平:2、平川 弘聖:1、大平 雅一:1

1:大阪市立大学・大学院医学研究科・腫瘍外科、2:大阪市立大学・大学院医学研究科・分子病態薬理学科

 

【背景】近年,様々な癌種において腫瘍浸潤リンパ球 (tumor-infiltrating lymphocytes, TILs) の予後予測や治療効果予測因子として有用性が報告されている.TILsは癌免疫微小環境のモニタリング指標とされているが,動的な変化を示すために経時的変化の把握が重要と考えられる.今回われわれは,乳癌術前化学療法 (NAC) において,治療前後で採取した生検標本と手術標本でのCD8-TILsおよびFOXP3-TILsを評価した.そしてその動的変化がもたらす癌免疫微小環境の臨床的意義について検証をすすめた.
【対象と方法】乳癌NAC症例244例,そのなかで病理学的完全奏効 (pCR) 症例を除外した136例を対象とした.NAC前に採取した生検標本とNAC後の手術標本に免疫組織染色を行い,CD8陽性TILs,FOXP3陽性TILs,およびCD8/FOXP3比についての経時的変化と臨床病理学的背景,さらに無再発生存期間 (RFS) や全生存期間 (OS) との関連について検証した.
【結果】生検標本におけるCD8/FOXP3比高値群は低値群と比較して有意にRFSが延長していた (p=0.012, log-rank).予後解析 (RFS, OS) における摘出標本の評価では,高CD8陽性TILs群 (p<0.001, p=0.017),低FOXP3陽性TILs群 (p=0.006, p=0.006),高CD8/FOXP3群 (p<0.001, p<0.001) で対照群と比較して有意にRFSおよびOSの延長が認められた.多変量解析では,摘出標本のCD8陽性TILs (HR=4.25, 95%CI 1.796-11.01, p=0.001),CD8/FOXP3比 (HR=6.93, 95%CI 2.237-24.03, p=0.001) が独立した予後予測因子であった.また,NAC前後でのTILsの変化を検証したところ,CD8陽性TILs増加群 (p=0.006, p=0.037),FOXP3陽性TILs減少群 (p=0.044, p=0.025),CD8/FOXP3比増加群 (p<0.001, p=0.017) でRFSおよびOSが有意に延長していた.さらに多変量解析では,CD8陽性TILsが経時的変化を示した症例が (HR=3.37, 95%CI 1.448-8.05, p=0.004),CD8/FOXP3比の変化 (HR=5.74, 95%CI 2.212-16.34, p<0.001) が独立した予後予測因子であった.
【結語】NACによる癌免疫微小環境の改善は予後に寄与する可能性があり,さらにCD8陽性TILsおよびCD8/FOXP3比の経時的変化は予後予測因子として有用であることが示唆された.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:トランスレーショナルリサーチ

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